イライラを抑えたい~イライラする気持ちと上手につきあう7つの方法

心理学

登場人物:

  • こころ先生:やさしくて頼れるスクールカウンセラーの先生
  • けんちゃん:小学4年生。最近ちょっとイライラしがち…

イライラって気づきのチャンス!

放課後、学校の相談室にて――

こころ先生:「こんにちは、けんちゃん。元気ないね。何かあったの?」

けんちゃん:「…なんでもない。」

こころ先生:「そう?でも、その眉毛とほっぺの感じを見ると、“イライラしてるよ!”って顔が言ってるよ」

けんちゃん:「…だって、友達にからかわれたし、算数もぜんぜんわかんなかったし…、朝はママにも“早くしなさい!”って」

こころ先生:「うんうん、それはツラかったね。嫌なことがいくつもあったら、誰でもイライラしちゃうよ。けんちゃんの心が“もう限界!”って言ってるのかもしれないね」


イライラの正体って?

こころ先生:「けんちゃん、イライラするのって悪いことだと思う?」

けんちゃん:「うーん、ダメな気がする。だって怒っちゃうし…」

こころ先生:「実はね、イライラって“心のSOS”なんだよ。“今、うまくいってないよ!”って体が教えてくれてるの。だから、イライラはダメじゃなくて、“気づきのチャンス”なんだよ。」

けんちゃん:「へぇ…。じゃあ、どうしたらイライラしなくなるの?」

こころ先生:「イライラをなくすんじゃなくて、うまく付き合っていく方法があるんだよ。今日はそれを7つ、けんちゃんに教えるね!」


🌱けんちゃんと学ぶ!イライラとのつきあい方 7つの方法


①「気持ちに名前をつけてみよう」

こころ先生:「まずね、けんちゃんが感じてる気持ちに“名前”をつけてあげよう。」

けんちゃん:「え、名前?」

こころ先生:「たとえば“悔しい”とか“悲しい”とか。“怒ってる”って思っても、実は“本当は仲良くしたかった”ってこともあるよね。」

けんちゃん:「たしかに…友達にからかわれて、ほんとは“バカにしないで、もっと仲良くしようよ”って言いたかった。」

こころ先生:「うん、それが本音だね。気持ちに名前をつけると、

心がちょっと落ち着いてくるんだよ。」

【こころ先生のワンポイントアドバイス】

けんちゃんが感じた「イライラ」は、もしかしたら「くやしい」「かなしい」「さびしい」っていう気持ちだったのかもしれないね。

人の気持ちはいろんなかたちをしているけど、それがごちゃごちゃのままだと、こころの中がパンパンになって苦しくなっちゃう。

そこで「これは、くやしい気持ちだ!」って言葉にしてあげると、ふしぎと心が落ち着くんだよ。

これは「感情ラベリング」といって、気持ちに名前をつけることで、頭の中のモヤモヤが少しずつほどけていく仕組みなんだ。

自分の気持ちがわかるようになると、友だちにもやさしくできるようになるよ。


②「6秒待って、深呼吸!」

こころ先生:「イライラしたときは、深呼吸してみよう。怒りのピークは6秒なんだって。」

けんちゃん:「6秒…そんなに短いの?」

こころ先生:「うん。鼻から吸って、ゆっくり口からフーッと吐いてみて。」

けんちゃん:「(フーッ)…なんか、少し気持ちいいかも。」

【こころ先生のワンポイントアドバイス】

イライラしたとき、すぐに「うわー!」ってなっちゃうことってあるよね。

でも、怒りの気持ちって、ピーク(いちばん強いとき)はたった6秒って言われてるんだよ。

その6秒を、どう過ごすかがとっても大事。

そこで「深呼吸」の出番! 

鼻からゆっくり息をすって、口からフーッと長くはく。

それを2〜3回やるだけで、体の中に「落ち着こうね~」っていう合図が送られて、こころがスーッと軽くなるんだ。

これは「副交感神経(ふくこうかんしんけい)」っていう、体をリラックスさせるスイッチが入るからなんだよ。

怒ってもいい。でも、そのまえに“ふーっ”としてみようね。


③「“イライラノート”で気持ちを出そう」

こころ先生:「ノートや絵に“今日いやだったこと”を書いてみるのもいいよ。」

けんちゃん:「それって、怒りを書いてもいいの?」

こころ先生:「もちろん!“今日、〇〇がムカついた!”って書いてOK。書くだけで気持ちがスッキリするよ。」

【こころ先生のワンポイントアドバイス】

イヤだったことや、ムカッとしたことって、頭の中にためこむと、心がパンパンになってしまうよね。

そんなときはノートやメモに「今日は〇〇がいやだった」って書いてみよう。

それが「イライラノート」だよ。

字じゃなくても、絵でもいいし、〇△×マークでもOK。

大切なのは「今こんな気持ちだよ!」って、こころの声を外に出してあげること。

こうすると頭と心がスッキリしてくるんだ。

これは、感情の「見える化」っていって、今の気持ちを自分で見て、知ることができる方法なんだよ。

ノートはあなたの心のお友だち。正直に書いていいんだよ。


④「ちゃんと寝てる?ちゃんと食べてる?」

こころ先生:「けんちゃん、昨日何時に寝た?」

けんちゃん:「うーん…10時半くらい?」

こころ先生:「おおっと、それはちょっと遅いかもね。寝不足だとイライラしやすくなるんだよ。」

けんちゃん:「そういえば、おなかすいたときもイライラする…」

こころ先生:「食事・睡眠・運動。心の元気も、体から来てるんだね。」

【こころ先生のワンポイントアドバイス】

「イライラする!」って気持ちになるとき、もしかしたら心だけじゃなくて、体がつかれていることもあるんだよ。

夜遅くまで起きていて、眠いまま朝をむかえると、

頭がぼーっとして集中できなかったり、ちょっとしたことでイライラしやすくなったりするのはそのせい。
それに、おなかがすいていると、脳(のう)のエネルギーが足りなくなって、

「がまんする力」もうまく働かなくなるんだ。

体と心はつながっていて、ねむい・おなかがすいた・動いてない、っていうのは、イライラのもとになっちゃう。
だからこそ、「ちゃんとねる」「朝ごはんをたべる」「すこし外であそぶ」ってことが、こころを元気にしてくれる大事なヒミツなんだよ。


⑤「できたことを見つけよう」

こころ先生:「今日、どんな“小さなできた”があった?」

けんちゃん:「んー…発表のとき、手をあげてみた。」

こころ先生:「それ、すごい!勇気がいったよね。イライラしがちなときって、自分のいいところが見えなくなっちゃうけど、“できたこと探し”をすると、自信がわいてくるよ。」

【こころ先生のワンポイントアドバイス】

イライラしているときって、「なんでうまくいかないんだよー!」とか「また失敗しちゃった…」って、自分の悪いところばっかり見ちゃうことってない?
でもね、人はどんなときも、がんばってるところや「できたこと」がぜったいにあるんだよ。

たとえば「今日は我慢できた」とか「ちゃんと手をあげて話せた」とか、小さな“できた”を見つけていくことが、とっても大切なんだ。
その“できた”を見つけたとき、体の中では「ドーパミン」っていう元気のもとが出て、「またやってみようかな」って前向きな気持ちが生まれるんだよ。

毎日ひとつでも、自分をほめてあげられたら、それが大きな自信になっていくんだ!


⑥「“ダメ!”じゃなくて“こうしよう”」

こころ先生:「けんちゃん、お母さんに“早くしなさい!”って言われたとき、どう思った?」

けんちゃん:「イラッとした。なんか怒られてばっかりでイヤ。」

こころ先生:「“早くしてくれると助かるな”って言われたら、どう思う?」

けんちゃん:「…それならちょっとやる気出るかも。」

こころ先生:「そうだよね。言い方ひとつで、イライラも変わってくるんだ。」

【こころ先生のワンポイントアドバイス】

「それやっちゃダメ!」「またそんなことして!」って言われたとき、ちょっとムカッとしたことってあるよね?
じつは人の脳は、「ダメ!」って言われると、かえってイライラしたり、反発したくなっちゃうんだ。

でもね、「こうしてくれるとうれしいな」とか「こうしたらもっといいよ」って言われると、気持ちがまるくなって、「やってみようかな」って思えるようになるんだよ。
この“ことばの魔法”は、おうちの人も先生もつかえるし、けんちゃん自身もつかえるんだ。

たとえば友達に「うるさいな!」って言いたくなったら、「ちょっと静かにしてくれると助かるな」って言ってみると、気持ちがぶつからずにすむかもしれないね。


⑦「大人だってイライラする。だから一緒に整えよう」

こころ先生:「最後に大事なこと。けんちゃん、ママもイライラすることってあると思う?」

けんちゃん:「ある…かも。」

こころ先生:「大人だって完璧じゃない。だから、けんちゃんとママ、お互い“ちょっと落ち着こうか”って声をかけあえたら素敵だよね。」

けんちゃん:「うん。ママにもこの話してみる!」

【こころ先生のワンポイントアドバイス】

「ママってすぐ怒る…」「先生がこわい…」って思ったこと、あるかな? 

でもね、じつは大人だってイライラすることがあるんだよ。

大人だって人間だから、つかれたり、うまくいかないことがあると、心がざわざわしちゃうんだ。
でも、そんなときこそ「ちょっと落ち着こうか」っておたがいに声をかけあえると、安心できる空気が生まれるんだ。

人はやさしい声やぬくもりを感じると、「オキシトシン」っていう心がホッとするホルモンが出ることがわかっているよ。
けんちゃんが「ママも大変なんだな」「一緒に落ちつこうよ」って思えるだけで、ママも笑顔になれるかもしれないね。

イライラはひとりでがまんしなくていいんだよ。

家族や先生と「いっしょに整える」ことが、とっても大事なんだ。


こころ先生のまとめ

こころ先生:「けんちゃん、今日話した7つのこと、どうだった?」

けんちゃん:「イライラするのってダメじゃないんだって、わかってホッとした。これから、ちょっとずつやってみる!」

こころ先生:「それでいいよ。心も体も育ってる途中。イライラは“成長のしるし”だから、大丈夫。困ったときは、また話しに来てね。」

けんちゃん:「うん、ありがとう!」

おさらい

① 気もちに「名前」をつけよう

イライラのなかには、「くやしい」「かなしい」などの気もちがかくれていることがあるよ。
その気もちに名前をつけると、心がすーっと落ちつくよ。


② まずは「6秒」まって、ふーっ

イライラのピークは6びょうくらい。
そのあいだに、鼻からすって、口からゆっくり「ふーっ」ってしてみよう。気もちがしずまってくるよ。


③ ノートや絵で「気持ちを出そう」

いやなこと、ムカッとしたことは、ノートに書いたり、絵にしたりしてみよう。
気もちを出すだけで、こころがかるくなるよ。


④ よくねて、しっかり食べよう

ねむかったり、おなかがすいてると、イライラしやすくなるよ。
「ねる」「たべる」「あそぶ」で、心と体を元気にしよう!


⑤ 「できたこと」を見つけてみよう

うまくいかないときでも、小さな“できた”はぜったいあるよ。
見つけてじぶんをほめてあげよう。自信がわいてくるよ!


⑥「ダメ!」じゃなくて「こうしよう」

言い方をかえるだけで、気もちのぶつかりあいがへるよ。
たとえば「うるさい!」じゃなくて「ちょっと静かにしてくれると助かるな」って言ってみよう。


⑦ ひとりで がまんしないで「いっしょに整えよう」

ママや先生もイライラすることがあるよ。
「ちょっと落ちつこうね」って言いあえたら、おたがい安心できるね。


💬こころ先生からひとこと

イライラするのはダメなことじゃないよ。
大切なのは、その気もちと「どうつきあうか」なんだ。
少しずつでいいから、いっしょにやってみようね!


✨おわりに

イライラしちゃうとき、「こんな自分ダメかも…」って思うことがあるかもしれないね。
でもね、イライラは心の中からの大事なおしらせなんだ。
がまんしすぎなくていいし、ひとりでかかえこまなくていいんだよ。


大切なのは、少しずつ「どうすれば気もちが楽になるかな」って考えてみること。


この7つの方法を、できることから少しずつやってみてね。
あなたの気もち、ちゃんとわかってくれる人がまわりにいるからね。

保護者の方へ

子どもがイライラしてしまうのは、自分の気持ちをうまく整理できないサインかもしれません。
「叱る」より「気づかせる」、「押さえつける」より「寄り添う」。
そんな関わりが、子どもの心の成長を後押しします。

ぜひ、ご家庭でも“こころ先生”の7つの方法を、親子で実践してみてくださいね。

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