小さい頃から「天使」という言葉に、どうしようもなく心を惹かれてきました。
白く輝く羽、静かに微笑む優しいまなざし――あれはただの空想ではなく、きっと“どこか”に存在する。そう思っていたんです。
そして大人になった今でも、ふと空を見上げるたびに思います。
「天使たちは今、どこで、何をしているんだろう?」と。
このページでは、そんな天使たちの“階級”について、できるだけわかりやすく丁寧にお伝えします。
ちょっと神秘的で、でもどこか身近で。あなたの心がふっと軽くなるような、そんな時間になりますように――。
1. 天使の階級とは何か?その由来と意義
天使とは、神の意志を伝え、宇宙の秩序を保ち、人間を守る霊的存在とされます。特にキリスト教神学では、天使は「神に仕える被造物」であり、明確な階級(ヒエラルキー)を持って天界の秩序を保っています。
この階級制は、5〜6世紀の神秘思想家・偽ディオニュシウス・アレオパギタスが著した『天上位階論(De Coelesti Hierarchia)』に初めて整理されたもので、9つの階級が3つのスフィア(領域)に分かれて存在するとされました。
また、中世最大の神学者トマス・アクィナスもその著書『神学大全(Summa Theologiae)』でこの分類を採用し、今日に至るまで広く受け継がれています。
天使の階級を知ることは、神秘の世界に秩序があることを理解し、自分自身の存在にも深い意味があると気づくきっかけになります。

2. 三つのスフィアと9階級の構造
天使は以下のように分類されます。
スフィア | 階級 | 役割 |
---|---|---|
第一スフィア(神に最も近い) | セラフィム(熾天使)ケルビム(智天使)スローンズ(座天使) | 神の栄光や意志を直接受け、永遠に賛美する |
第二スフィア(秩序の維持) | ドミニオンズ(主天使)ヴァーチューズ(力天使)パワーズ(能天使) | 下位天使を導き、宇宙の霊的秩序を維持する |
第三スフィア(人間界に近い) | プリンシパリティーズ(権天使)アークエンジェルズ(大天使)エンジェルズ(天使) | 社会や個人に関わり、導きと守護を行う |
3. 第一スフィア|神に最も近い存在たち
3-1. セラフィム(Seraphim/熾天使)
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旧約聖書『イザヤ書6:2-3』に登場するこの天使たちは、6つの翼を持ち、神の玉座の周囲で永遠に神を讃えています。
「聖なる、聖なる、聖なる、万軍の主、その栄光は全地に満つ」
セラフィムは神の愛と純粋さを象徴する存在で、火のように輝き、最も神に近い位階に位置しています。
3-2. ケルビム(Cherubim/智天使)
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『創世記3:24』では、エデンの園の入口を守護する役割として登場し、『エゼキエル書10章』では4つの顔(人・獅子・牛・鷲)を持つ複雑な姿で神の戦車を担うとされます。
ケルビムは神の知恵と啓示を象徴し、啓蒙や真理の守護者として機能します。
3-3. スローンズ(Thrones/座天使)
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コロサイ人への手紙1:16には、「見えるものも見えないものも、王座(スローンズ)も主権も…」とあり、神の意志と正義を媒介する存在として認識されています。
スローンズは、天界の秩序と法の根本を支える存在で、神の意志を受け止める「座」としての象徴です。
4. 第二スフィア|宇宙と天界の秩序を支える天使たち
4-1. ドミニオンズ(Dominions/主天使)
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他の天使たちを統率し、神の意志を適切に下位階層へ伝える役割を担います。
ギリシャ語では”Kyriotetes”と呼ばれ、組織的かつ秩序ある天界の維持に貢献します。
4-2. ヴァーチューズ(Virtues/力天使)
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奇跡や自然現象を担当し、「神の力を地上に届ける媒体」として機能します。
芸術的なインスピレーションや癒しの力を司るとも言われ、特に聖人たちの奇跡に関与すると信じられています。
4-3. パワーズ(Powers/能天使)
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神の秩序を乱そうとする悪の力と戦う存在で、霊的防衛線の役割を果たします。
『エフェソ6:12』では「力ある者たち、闇の世界の支配者」と対峙する存在として暗示されています。
5. 第三スフィア|人間に寄り添う天使たち
5-1. プリンシパリティーズ(Principalities/権天使)
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国・都市・教会など共同体全体を守護するとされる天使で、社会構造や文化的価値の背後に影響を与えます。
5-2. アークエンジェルズ(Archangels/大天使)
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ミカエル(戦いの守護者)、ガブリエル(神の言葉の使者)、ラファエル(癒しの天使)などがこの位階に属します。
『ルカ1:26』の受胎告知や『トビト記』でのラファエルの登場など、特別な使命を帯びて人間界に現れます。
※ラファエルはカトリック・正教会では正典扱い、プロテスタントでは外典とされています。
5-3. エンジェルズ(Angels/天使)
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もっとも人間に近い存在であり、私たち一人ひとりに寄り添う守護天使(Guardian Angels)を含みます。
『マタイ18:10』には「子どもたちの天使が、天において父の御顔を見ている」とあり、個人を見守る存在として明示されています。
6. 守護天使とは?あなたを導く存在
守護天使(Guardian Angel)は、天使の階級の中でも私たちに最も近い存在とされ、個人を生涯にわたり見守る存在です。この概念は聖書にも根拠があり、『マタイによる福音書18:10』には、「子どもたちの天使は天において父の御顔を仰いでいる」と記されています。このことは、各人に天使が付き添い、神とのつながりを保ちながら守護しているという考え方を裏付けています。
さらに『詩篇91:11』には、「主はあなたのために御使いに命じて、すべての道であなたを守らせる」と記されており、守護天使は危険を察知して回避させたり、導きを与える存在とされています。
カトリック教会では10月2日を「守護天使の記念日」としており、教皇ピウス10世は「すべての人には一人の守護天使がついている」と宣言しました。中世以降、守護天使の教義は人々の信仰と精神文化の中で重要な位置を占めています。
守護天使の働きは、以下のようにまとめることができます:
- 危険や災いからの保護
- 精神的な支えや癒し
- 正しい選択や直感のサポート
- 祈りや願いへの応答(非言語的な啓示)
これらは大げさな奇跡というよりも、日常の中の「偶然の一致」や「ふとした気づき」として現れることが多く、その静かな存在感が特徴です。
心理学的観点では、守護天使は「内なる声」や「自己の深層意識」とも解釈され、スピリチュアルな観点では「高次元のガイド」とも表現されます。どちらの視点でも共通して言えるのは、私たちが孤立無援ではないというメッセージを与えてくれる存在であるということです。
守護天使とつながるには、静かな時間をとり、自分の心に耳を澄ますこと。祈りや瞑想、自然の中でのひととき、または心を込めた感謝の言葉など、小さな行動の積み重ねが、天使との絆を育んでいきます。
誰にも話せない悩みを抱えているときこそ、見えないけれど確かに感じられる“誰か”の存在が、私たちを支えてくれるのです。
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7. 守護天使とつながるセルフワーク(恋に悩むあなたのために)
恋に悩んだとき、孤独や不安で心が揺れるとき、守護天使とのつながりを意識することで、内なる静けさと確信を取り戻すことができます。以下に、簡単にできるセルフワークをご紹介します。
① 静かな場所で深呼吸
背筋を伸ばし、数回ゆっくり深呼吸。スマホを置いて、心の雑音を消してみましょう。
② 守護天使に呼びかける
心の中で「私を見守ってくれている天使へ。私は今、恋に迷っています。どうか本当の気持ちに気づかせてください」とシンプルに語りかけてみてください。
③ イメージを受け取る
心に浮かんだ情景、言葉、記憶、光…それが守護天使からのヒントかもしれません。判断しようとせず、ただ“受け取る”ことに集中してみましょう。
④ メモに書き出す
浮かんだことや感情を書き出すことで、自分の本音や願いが見えてくることがあります。書くことは祈りと自己整理の一歩です。
⑤ 最後に一言「ありがとう」
答えがすぐに見えなくても、見守られている安心感は必ず届いています。小さくてもいい、心の中で「ありがとう」を伝えてみましょう。
8. 恋に悩むあなたへ──天使が教えてくれる、愛のかたち
恋に傷ついたとき、人は自分を責めたり、価値を見失ってしまいがちです。けれど、あなたをそばで見守っている守護天使は、こう語りかけているかもしれません。
「あなたは、愛されるために生まれてきた」
愛は執着でも所有でもなく、魂が成長し、喜びを学ぶプロセス。今感じている痛みも、あなたをより美しく、優しい人にするための道のりかもしれません。
守護天使は、あなたの価値が誰かに認められるのを待っているのではなく、まずあなたが自分自身を大切にすることを望んでいます。
あなたの恋が叶うかどうかよりも、「あなたの魂が輝いているか」が、天使たちの関心なのです。
心が疲れたときは、静かに目を閉じて、あなたのそばにいる天使にそっと問いかけてみてください。きっと、言葉にならない形で、そっと背中を押してくれるはずです。
9. まとめ|天使たちは、いつでもあなたのそばに
天使の階級という壮麗なヒエラルキーに触れることは、どこか遠い神話のようでいて、実はとても静かに、私たちの内側と響き合っています。
完璧である必要なんてありません。毎日をなんとか乗り越えているだけでも、もうじゅうぶん。その姿を、あなたのそばにいる天使たちは、ちゃんと見てくれています。
恋に迷い、人生に立ち止まり、ふと心が揺れたとき。どうか思い出してください。見えないけれど確かに、あなたに寄り添う存在がいるということを。
そして、あなたが勇気を出して踏み出すその小さな一歩を、天使たちはまっすぐに祝福してくれています。
あなたの傷も、涙も、願いも。すべてが、愛へと向かう道の一部なのです。