1分で届く天使の物語|心に触れる短編ショートストーリー No.2

ショートストーリー

「ほんのひととき、心を静かにしてみてください。」
見えないけれど、たしかにそこにある“やさしさ”に触れるような——
これは、1分で届く、天使のささやきのような物語。
あなたの今日に、そっと寄り添えますように。

窓辺のひかり

夜の深いところで、ひとすじの光が揺れていた。
誰もいない部屋の窓辺。灯りも音もないはずなのに、
その光だけが、そっと息をしている。

机に置かれた手紙のうえ——
「ありがとう」と綴られかけた言葉の途中で、
ペン先は止まり、想いだけが宙に残っていた。

光は、それを包むようにあたたかく滲み、
まるで見えない指先で心をなぞるようだった。

窓の外には、星がひとつ、目を覚ましたまま。
誰にも読まれなかった手紙を、
空のどこかへ届けに来たのかもしれない。

その夜、世界は静かに眠っていた。
けれど、小さな光のまわりだけ、夢がひらいていた。

コメント

タイトルとURLをコピーしました