「ほんのひととき、心を静かにしてみてください。」
見えないけれど、たしかにそこにある“やさしさ”に触れるような——
これは、1分で届く、天使のささやきのような物語。
あなたの今日に、そっと寄り添えますように。
止まらない信号
その日、横断歩道の信号は、いつまで経っても青にならなかった。
人々は苛立ち、遠回りしてゆく。
少年だけが、静かに待っていた。
すると、向こう側からひとりの老人が歩いてきて、笑った。
「青じゃなくても、渡っていいときがあるんだよ」
言葉とともに、信号がふっと変わる。
それは、風が落とした魔法のような出来事だった。
少年はその日、何かを信じていいと初めて思えた。
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